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PMがやるべきことはメンバーによって違う。ポリバレントでないと、非効率組織でしか生きれない

サッカーでポリバレント

いろんなところでプロジェクト管理をやってると、集まるメンバーによって明らかにプロジェクトマネージャー(PM)のやるべきことが違うので、自分メモとして整理してみる。

ポリバレントはサッカー用語で複数の役割(ポジション)をこなせる能力です。

会社組織でのPMタスク

会社でPMをやってると、受託プロジェクトでは意思決定と段取りが主なタスク。

メールや会議で意思決定してコンセンサスをとってブルドーザーのように進めていく。

登場人物が多いので、みんなの足並みをそろえてプロジェクトの落としどころを見つけるわけです。いいものを作るのがプライオリティ1番ではなくて、全員の落としどころを見つけることがプライオリティの1番目で、いいものを作るのは2番以降です。クリエイター育ちのPMはいいものを作ろうとして、低予算案件で頑張りすぎて炎上してるのをたまに見る。会社組織でやりきりたかったら予算も取ってこないといけない。

落としどころを決めて、止まっている人を動かして、コンセンサス取って、意思決定して、ゴールするのが目的で、資料作成もコミュニケーションルールもプロジェクト管理ツールも全部効率化のための手段。プロジェクトをうまく遂行するための手段はきっちりやらないといけないけど、手段と目的がごちゃごちゃになってはいけない。

プロジェクトの人数に比例して、プロジェクトの難易度とPMのコミュニケーションコストは上がるが、メンバーによってコミュニケーションの種類は変わってくる。

ジーコジャパンのようにスキルが高いメンバーを集めてプロジェクト進行するときと、オシムジャパンのように教育しながら進めるプロジェクトでは頑張るポイントが全然違う。

一般的に、組織では、スキル高い人は柔軟性が低くく、スキルが低い人がやる気がある傾向がある。だからプロジェクトマネージャーがケアするポイントはメンバーによって変わるんだけど、ドリームチームなんて滅多に作れないから、僕はオシム的に進めることが多い。

もちろん、トルシエのような恐怖政治も1つの手法です。

もし、スキルが高く柔軟な人ばかりになったら、プロジェクトマネージャーという職業は不要になるだろうし、サッカーの監督もいらなくなると思うけど、世の中のすべてのプロジェクトがドリームチームになることはない。

だから、会社のプロジェクトのときの僕の役割は、

アイデアを予算にして、体制を作って、お客様も含めた合意形成を楽チンにする方法を考えて、みんなのモチベーションをケアしながら、バシバシ意思決定してた。

しかし、ここ数年は会社外のプロジェクトも行っている。そしたらやるべきことがもう全然違うわけです。

会社外でのPMタスク

会社外で僕がPMをやったのは、プロボノとスーパーコンシューマー。

会社外活動ではモチベーションが高い人が集まる傾向があるが、スーパーコンシューマーもそうだ。本業の合間にみんなで集まってカバンや手帳を作っている。いままで4つのプロジェクトが完了したが、みんながすごい優秀で驚く。専門分野を持っていて、協調性もある。会社で出会う人たちよりも明らかに優秀。さらに遊びでモノ作りをしているので利害関係も発生しない。

だから、会社でやっていたタスクがほとんどなくなる。モチベーション管理、合意形成、予算調整、意思決定なんて不要。一方で、スケジュールに強制力がなくなる。いろんな前提条件が違う。

メンバーが優秀なときプロジェクトマネージャーがやるべきことは全く違う。自分でバシバシ意思決定する必要はない。むしろ意思決定してしまうと各自のいいところを台無しにしてしまう。

最初の文具王手帳を作ったあとにそれを痛感して、メンバーがシナジーを生むために何をすべきか考えるようになった。自分が何者かを示して、役割分担を決める。その後は存在感を消していく。もちろん、意思決定しないといけないときはあるが、反発が起きることはほとんどない。

それでファシリテーターのセミナーを受けるようになった。何もしてないのに、その場の精神的支柱になってることを実践している人に感銘を受けた。しかし、これがめちゃくちゃ難しい。

存在感を消すと、することないから眠くなってしまう(笑)。僕は喋って存在感を出すタイプなので…。

ファシリテーターは全然できないのでこれからの僕の課題です。

調整能力を備えたエッジの利いた個人が集まったとき、プロジェクトマネージャーは果たして必要なのか?

その答えはまだ出ていない。プロジェクト管理能力は、非効率組織であればあるほど重要な気がしてきたが、そんな組織が残り続けるんだろうか?

だから、サッカーのようにポリバレントな対応ができるよう、PMだけじゃなくて、他のポジションもできるようにします。つまり、「調整能力を備えたエッジの利いた個人」にもならんとあかんということですね。プロジェクト管理には誇りがあるので、これはこれで磨く。僕がいると、楽しくなる。そして、結果がでる。もちろん、トラブルなんか起きない。そういう役割です。だけど、PMの枠には捕われないようにする。

今後、働き方はどんどん変化していくだろう。だけど、ドリームチームばかりではないので、プロジェクトマネージャーはどこにでも必要なはずだ。やろうと思えば何でもできる時代だけど、非効率な組織や達成できてないプロジェクトは山ほどある。プロジェクトマネジメント能力はそういうときに生きる。

しかし、そのとき集まったメンバーによって、自分の役割を柔軟に変化できないと、非効率組織でしか生きれないプロジェクトマネージャーになってしまう。

だから、僕はお決まりのフレームワークにこだわりがない。組織が変われば、プロジェクトも変わって、効率化の手法も変わる。それはメンバー見てから考える。

そして、一番の理想は、何もしてないのにプロジェクトがいい感じになること。

超整理手帳のプロジェクトが終わって、そんなことを思った。