働き方インタビュー 002 / 似顔絵アーティスト miki
働き方インタビュー2人目は、似顔絵イラストレーターmikiさん。シンプルでカッコいいイラストが好きです!国際大会ISCAでも活躍されてます!
(画像は掲載許可を頂いています。)
mikiさんプロフィール
似顔絵アーティスト。似顔絵、イラスト、雑誌や書籍のイラスト、イベント出演
ものすごい昔にメールのやり取りをしたことはあるけど、お会いするのは初めて。 いきなりメールしたんですが親切に対応してくれました。ほんとありがとうございます。たまに、ららぽーと横浜で似顔絵を描いてます、って教えてくれたので話を聞きにいきました。
第1回インタビューでは、写真がなかったし手書きメモでは間に合わなかったので、その教訓を生かして、写真を撮って録音しました。
では、インタビュースタート!
mikiさんの経歴
小さいときから似顔絵を描いてたんですか?
そうですね。ずっと手描きで写実的な絵を描いてました。趣味が仕事になっちゃったので、まともに働いたことないんですよ。ずっとフリーランスです(笑)。学生を卒業して、しばらくアルバイトをしながらイラストの仕事をしてて、その後に、星の子プロダクションという似顔絵プロダクションで似顔絵を書いてたんです。独立したのはその後です。
星の子プロダクションは、有名な似顔絵プロダクションですね。
はい。5年いました。
似顔絵の描き方
星の子プロダクションには、いろんな人がいたので、すっごい勉強になりました。もともとは手描きで描いてたので、パソコンを使っても、線を読み込んで着色するだけでした。だから、使うソフトはPhotoshopとかペインターばっかり。 でも、Illustratorも覚えなきゃと思ってIllustratorで描くようになってから、シンプルなタッチになってきました。今はIllustratorで描いて、Photoshopで調整する感じです。
(注:後ろの似顔絵はmikiさんの作品ではありません。)
イラストポリシー
イラストのポリシーとかあります?
ポリシーですか?なんだろ。あ、少ない線で似せることは常に考えています。
mikiさんの似顔絵はシンプルですもんね。
中谷さんの似顔絵もシンプルですよね。一般の人は難しくないですか?
そうですね。最初は難しかったです(笑)。ボクはもともとサッカー選手とかお笑い芸人を描いてたので、みんな特徴的なんですよ。だから、最初一般の人を描き始めたときはめちゃ難しかったです。デフォルメに対してクレームになったこともありますし(笑)。
中谷さんの絵で、クレームになるんですか?怒るんですか?
何回かありますよ。期待外れだ!とかね。あれは悲しくなりますね。ないですか?
席に座ってこのように描いてるときに気に入らなかったお客様はいますが、ネットからの依頼ではないですね。
いいな(笑)。他にこだわっていることはあるんですか?
店舗などで似顔絵を描くより、有名人を時間をかけて描く方が向いていると思うので、自分の作品として似顔絵を増やしていきたいです。今まで3回個展をやりましたが、個展もやっていきたいです。
すごいなあ。ボクは仕事で似顔絵を描くようになってから、芸能人を描かなくなりました。似顔絵の個展ってまだ少ないですよね。やるときは教えてください。行きますので!
似顔絵の国際大会 ISCA(International Society of Caricature Artists)とは?
似顔絵の国際大会である、ISCA(International Society of Caricature Artists)に今年も参加してたんですよね。ボクも昔に誘われたんですが、行ったことないんです。
そうなんです。先日フロリダから帰りました。
ISCAってどんな大会なんですか?
テーマがあるわけじゃなくて、エントリーした似顔絵描きがお互いを描き合って、自分のスペースに展示するんです。それを数日やって、お互いに投票しあうんです。毎年、日本人の参加者がいますよ。
似顔絵描きが評価する大会なんですね。今年の結果はどうだったんですか?
おかげさまで、デザイン部門1位とスタジオピース2位、ポートフォリオ2位をいただきましたw。
すごい!毎年受賞してません?日本人は健闘してるんですか?
今回、総合優勝されたのは、田畑伴和さんです。星の子プロダクションで一緒だったんです。奥さんのぜんごゆうこさんも似顔絵描きで、夫婦で似顔絵を描かれているんです。
知ってますよ!2006年に関西の似顔絵グループ個展に参加させてもらったんですが、そのときの懇親会でお話を聞きました。入賞したら、なんかもらえるんですか?
いえ特に(笑)。名誉ある賞ということで。w
そうなんですね(笑)。ISCAに出ると、海外から仕事の依頼が増えるんですか?
私は全然ないですねぇ。
そうなんだ。似顔絵を描いてる人ってピンキリやけど、すごい人ってもっと脚光を浴びるべきだと思うんですよね。mikiさんの似顔絵はカワイイし、海外からの依頼とか取れそうやと思いますけどね。あ、でも、デフォルメを笑える寛容さが必要か(笑)。
それはありますね。日本の雑誌でも、依頼のときに、「あまり崩さないでね」とか言われることありますし(笑)。
そうなんや。そういうイラストを望んでいるなら、そういうイラストレーターに依頼しろって感じですね(笑)。
でも、まあ、お仕事ですから(笑)。
一回、ISCAを見に行きたいなあ。
ISCAのミニコン
ISCAのミニコンも日本で開催されてますよ。今年7月には大阪で開催されて過去2回は東京でも開催されました。この前の大阪大会は参加者が120名くらいでした。日本のミニコンでは顔見知りが多くなってしまいますが(笑)
ミニコンって行ったらみんなの作品が見れるんですか?
見学だけだったら、ゲスト参加枠がありますよ。競技には参加できないですけど、描いてるところを見たりセミナーにも参加できるので楽しいと思いますよ。
オススメの似顔絵イラストレーター
この似顔絵描きの話を聞いとけ!って人いますか?
ええと、私が好きな人で、佐々木知子さんっていう人がいます。イラスト的な似顔絵を書く人で、きっと中谷さんも好きだと思います。
メールしてみます!
似顔絵を描いてて難しいこと
似顔絵を描いてて何が難しいですか?
私もそうですが、似顔絵を描く人は自分を売るのが苦手な人が多い気がしますので…。
それは、似顔絵に限らずクリエイティブな仕事をしている人はみんなそうですね。でも、こういうところで描いてる人はまだできるほうなんじゃないですか?
お客さまがたくさん来る方は、やっぱりトークが上手ですね。でも、ワタシは本当に苦手なので、そこはいいやって(笑)。営業もしないといけないけど、苦手なんでほとんどしてません。ありがたいことに、仲間からの紹介でお仕事をいただくことが多いです。それと、たまにサイトを見て問い合わせがある感じです。
それでやっていけるのはやっぱり実力ですね。
ただ、イベントやこういう場所って限られてるじゃないですか。こうやって描いていたらなんとか生活はできますけど。
でも、ほんとはもっと似顔絵描きの評価が上がるようなことをしたいんです。でも、何をしていいのか(笑)。似顔絵描きの中で評価されても、やっぱり狭いので一般的には認知されにくいですから。
業界ステイタスを上げるのは大切ですよね。ボクもやりたい。今回好きな似顔絵イラストレーターを紹介していこうと思ったのはそういう意味もありますもん。
似顔絵雑誌NIDO
NIDOっていう雑誌を知ってますか?ぜんござんが作っている似顔絵の情報誌で、本屋さんにも置いています。
本屋にも置いてたんですか!ぜんごさんとメールしたときに、お話を聞いたんですが、仲間うちで作ってた同人誌やと思ってました。書店に置いてたとは!
彼女はアイデアマンでオモシロイんです。NIDOは彼女1人で作っているので、現在3号で止まってるんですけど、実は、第1号で私の特集をしていただいたんです。彼女も似顔絵を描くだけではないので、きっと話が合うと思いますよw
オモシロイですね。ウェブを利用する部分は力になれると思います。やっぱり知らない人に認知してもらわないとあかんですよね。これ500円でしょ。絶対売れますよ!欲しい人はサイトにコメントかメールをください!
似顔絵業界の変化
似顔絵描きって増えてますよね?
ほんとに増えましたね!
ボクは似顔絵のポータルサイト(似顔絵さがそ)を運営してる(もうほったらかしですが…)ので、昔に有名な似顔絵描きのサイトは全部見たんです。5年前ならネットで検索して全員を見ようと思ったら見れました。でも、最近は次々増えていくのでもう見れないです。パソコンの普及で似顔絵を書く人がすごい増えましたね
本当にそうですね。
似顔絵の料金
mikiさんの似顔絵の料金はいくらなんですか?
ここは1人1500円です。こういう風にテナントで座って描くときはだいたい1500円ですね。 これが相場みたいです。ネットで直接依頼いただくときとか、企業のイベントに呼ばれるときは内容によって値段が違います。 アメリカと比べると、日本の似顔絵描きの評価は低いみたいなんです。 向こうだと結構いい生活しているみたい(笑)。
1500円は安いですよね?すごい似顔絵描きの人はもっとたくさんもらうべきですよ!
うーん、確かに私もすごい人を見ると、1500円じゃ安いって思いますねえ(笑)。でも、お客さんによっては1500円でも高いって言いますからね。w
そうかあ。ボクは海外に行くと似顔絵描きを探すんです。屋台村とか観光地とか人が集まるところにだいたい1人は似顔絵描きがいます。日本と同じですね。国ごとテイストが違って面白いんですが、それと比べても日本円で1500円は安いと思いますよ。たぶん、安い金額でやる人に業界単価が引っ張られるんですね。これは制作業界はどこも同じですよ。
ぶっちゃけ資格が必要なわけじゃないので、誰でもできるじゃないですか(笑)。だから、難しい。
なるほど。イラストレーターとしての仕事はしてないんですか?
してますよ。似顔絵を使う仕事ってそんなに多くないので、似顔絵なしでも描いてます。でも、やっぱり目標は似顔絵をベースとしたイラストなんで、主軸は似顔絵でいきたいです。
デザインでもイラストでも何でもそうですが、似顔絵描きの方にもテイストがあるじゃないですか。みんなプロなので、いろんな引き出しを持ってて対応してくれますけどね。mikiさんだったら、シンプルにシンボル化されていて、アートっぽい感じとかね。だから、タッチがあう仕事があったら是非お願いしたいと思っています。
はい。ぜひ!
今日は長い間ありがとうございました!
描いてもらった似顔絵
しゃくれてた(笑)。
あとがき
mikiさんは似顔絵業界でトップレベルの1人だと思うけど、やっぱり制作業をやってる人はみんな同じようなことを考えているんだなと思った。 デジタル化で制作者がドカンと増えた。これは制作単価を下げる要因になる。メリットもデメリットもあるけど、どんな制作の仕事でも同じだと思う。
似顔絵でなくイラストなら1枚1500円よりもっと単価は高い。似顔絵が1500円なのは、15分ぐらいで描いちゃうからっていうのもあると思う。それは訓練してできるスキルなんだけど、スピードが早くなると安くなるというジレンマ。
これはプログラマの単価でも同じ。 優秀で手が早いっていうのは一番すごいんだけど、分かってる人がちゃんと評価しないと産業って潰れちゃうと思うんです。 まだ始めたばかりで、手探りだけど、引き続きこの似顔絵インタビューを続けていこうと思います。これは楽しい!w
他にもたくさんの作品があるので、作者のサイトも是非見に行ってください。