働き方インタビュー 013 / イラストレーター なかむらりおた
オリジナルの仮面ライダーを作りたいなあ、って思ってたときに、Facebookに仮面ライダーアマゾンのイラストが流れてきた。ものすごく僕の好みだったので、誰が描いてるんだろうと思ってプロフィールを見てみたら、なかむらりおた君でした。
しばらくすると、彼は似顔絵師として独立することをFacebookで宣言していました。若い人ってどういう気持ちで似顔絵師という職業を選ぶんだろうと思って、インタビュー依頼しました。依頼から約半年後にお会いするチャンスができました。
今回はサッカー好きの2人だったので、サッカーの例えが多いです。だから、サッカーに興味ない人には分かりにくいかもしれません。すいませんが、ご了承ください(笑)。
なかむらりおたプロフィール
なかむらりおた、山口県出身の似顔絵イラストレーター
(画像の掲載許可をいただいています。)
自己紹介
メールはしたことあるけど、初対面ですね。今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ええと、僕が芸能人の似顔絵をよく描いていたのが、2005年ぐらいなんですけど、そのときに、数回メールのやりとりしたことがありますよね?
はい。中谷さんのサイトのトップページに中村俊輔の似顔絵があったじゃないですか。あの動きあるイラストに感動して、メールしたんだと思います。
当時のやり取りをあんまり覚えてないんですが、マジでうれしいです(笑)。ありがとうございます。
僕はスポーツが大好きなんです。あの1枚の絵にかなり影響を受けて、スポーツ選手の独特のフォームを僕も描きたいって思ったんです。あのときは、毎日、中谷さんのホームページ(きままな研究所)を見てましたよ。更新されてないかなって。
そんなに影響を与えたとは知らなかった(笑)。未だに俊輔のままですよ…。当時中学生でしたよね?
はい。14、15才だったと思います。いまは22才です。1990年生まれです。
若い!(笑)。そんなに若いのか。当時、メールをもらって、りおた君のサイトを見たらYahooブログをやってたんです。「似顔絵だぁ~!!!」ってサイト名でプロフィールに中学生って書いてたでしょ。
懐かしい。当時、みんなが似顔絵ホームページをやってるのを見て、自分も作りたかったんです。そのときに、ホームページが簡単に作れるブログっていうのがあることを知って、すぐにYahooブログを始めたんです。実は、Yahooブログは休業してて、今はアメーバブログを使ってます。Yahooブログは思い出みたいな感じで残ってます(笑)。
あのときはまだ、ブログが始まったばかりでしょ。中学生がブログやってることに驚いたんです。それで、サイトを見てみたら、サッカー選手のイラストが多くて、僕と同じようなサッカー選手を描いてるなあ、って思ったのをすごく覚えてます。
2人は昔に揉めたらしい。
あのー、今回会った瞬間に、「昔に生意気なことを言ってすいませんでした。」って言われてビックリしたんですけど、僕と揉めましたっけ?すいません。全然覚えてないんですけど…。
中谷さんのサイトって携帯の似顔絵待ち受けを配信してたじゃないですか。当時そういうサイトはなくて、自分もやってみたくなったんです。それで作り方を知りたくて、中谷さんの掲示板に、「作り方を教えてください。」って書き込んだんです。
全然覚えてない。僕は何て返信したんですか?
「作れるものなら作ってみてください(笑)。」みたいな返信だったんです。
ええぇー、そんな上から目線?本当ですか?めっちゃ失礼じゃないですか。
いやいやいや、でも、僕は中学生で常識もなかったんで、失礼な書き方をしたと思うんです。
じゃ、中学生の書き込みにカチンときて、失礼な対応をした大人ですね…。本当に申し訳ないです。
いやいやいや、当時の自分をシバきあげたいです。
そんなことがあったとは…。本当にごめんなさい。僕は昔から文字で誤解を生むことが多いんです…。 そのせいなのか、僕があまり似顔絵を描かなくなったからか分からないですけど、もう何年も交流がなかったですよね。それが突然僕がメールしたんですよね。今年ですよ。
そうです。驚きましたよ。
仮面ライダーアマゾンのイラスト
今年、Facebookに仮面ライダーアマゾンのイラストが流れてきたんです。カッコいいと思って、イラストに「カッコいい。」ってコメントしたんです。
あれは嬉しかったです。
コメントした後に、他のイラストも見てみたんです。見たことある似顔絵だなあと思ってたら、「あっ、Yahooブログの中学生だ!」って繋がったんです。イラストがうまくなってて、サッカーダイジェストで連載してるのを知って、時間の流れを感じたんです。それで、Facebookで友達になったんですね。
そうですね。
しばらくして、りおた君が、似顔絵師としてやっていく宣言をしたでしょ。スゴイと思ったんですよ。若い人が似顔絵師という職業を選ぶのってどんな感じなのか聞きたくて、インタビュー依頼のメールしたんです。
嬉しかったですね。シゴトカンは読んでましたから。ここまで似顔絵を堀り下げているサイトのはあまりないですから。
ありがとうございます。連絡したのって確か半年ぐらい前ですね。今回たまたま会う機会ができて実現したんです(笑)。
そうですね(笑)。
似顔絵師でやっていく若い人って多いんですか?
いや、そんな多くはないです。でも、熱い人が多くてオモシロイですよ。
イラストを描くようになった経緯
似顔絵はいつから描いてるんですか?
小さいときから描いてます。でも、完全に趣味として描いてて、仕事にできるとは思ってなかったです。絵で食べていくなら、漫画家にならないと無理だと思ってたので。
それがどういう経緯で仕事になっていったんですか?
高校生の時に、笑像画展(関西の似顔絵グループ展)に参加したのがキッカケなんです。参加してる人ってだいたい趣味で描いてるんですが、犬塚徹也さん(広島のおっさん)とか似顔絵で食べている人がいるじゃないですか。 イラストを仕事にしてる人にいろんな話を聞かせていただいて、仕事することが可能なんだって思うようになったんです。
どういうキッカケで笑像画展に参加するようになったんですか?見学に行ったんですか?
いや、最初から出展しました。たわらやたけしサンっていう似顔絵師が山口県にいるんですが、その人と犬塚さんが仲良くて、僕を紹介してくれたんです。それで、犬塚さんに呼んでもらって、高校3年生の夏休みに笑像画展に参加したんです。もう4年前ですね。
それから毎年参加してるんですよね?
そうです。それで、イラストを職業にしたいと考えるようになって、デザイン学校に入ったんです。学校で勉強しながら、イラストレーターと似顔絵師のどっちになろうか考えていたんですが、どっちもやってみることにしたんです。
デザイン学校を卒業して、すぐに独立したんですか?
いや、イラストレーターになるための下積みとして、一度制作会社に入ろうと思ったんです。それで、東京の制作会社にアルバイトで入るつもりだったんですが、その話が直前に流れてしまったんです。
それで、地元の小さい広告屋さんでアルバイトしながら、似顔絵を描いてました。会社では、イラストレーター、フォトショップを使って、広告を作ってたんですが、広告を作るのは好きじゃないので、キツかったです。
広告制作もモノ作りとして楽しいんじゃない?
僕は楽しくなかったです。絵を描くのが好きなのに、なんでこんなことをしてるんだろうって思ってましたから。
クリエイティブな制作じゃなくて、オペレーター的な作業だったのかもね。
やっぱり絵が描きたかったんです。でも、あの会社で働けてよかったです。自分の気持ちを再確認できました。意地でも絵を描いて食べていきたいって思ったんです。
社会に出て分かることってあるからね。
自分がやりたいことをやるのも大事ですけど、違うことをやって、気持ちを再確認するのも大事だなと感じました。
似顔絵イラストの可能性を広げたい
いろんな領域にチャレンジしてるのがスゴイ。やってる仕事って、イベント、グッズ制作、席描き、雑誌連載、イラストそんな感じ?
そうですね。あと一般の人からの依頼とかです。
グッズ制作はどういう流れでやってるんですか?
名古屋のプリント業者とコラボしてるんです。僕のブログを見て、似顔絵グッズでコラボしないですか?って声をかけてもらったんです。
ブログがキッカケなんですね?
そうですね。でも、最近はブログよりFacebookを見て、メッセージが届くことが多いですね。
そうなんだ。イラストと似顔絵って全然求められるものが違いますよね?イラストを描くときに、似ていることって重要なんですか?
いや、そんなことはないですね。たとえば、これはバスケットのイラストなんですけど、田臥勇太の雰囲気を入れてくれてって言われたんです。でも、似すぎるとマズかったりするので、完全に似せるわけじゃないんです。
(6つの間違いがあるそうですが、5つしか見つけられません…。)
そういうのって、似顔絵師のコダワリからするとどうなんですか?
僕は似顔絵もイラストもどっちも好きなので、そこにコダワリはないです。とにかく絵を描く事が好きなんです。
なるほど。漫画みたいなのも描いてますよね?
描いてますね。もともとは4コマ漫画なんか描けないと思ってたんですけど、1コマイラストを描いてたら、4コマもできるんじゃないって言われて、やってみたらいけたんです(笑)。でも、僕は漫画家ではないので、やっぱり似顔絵を活かしたイラストにしたいと思っています。これはスタジアムの観戦レポートです。
こういうのになると、似てるとかじゃなくて、どう伝えるかって感じですよね。
そうですね。全体的な面白さを求められるので、全然違います。文章よりイラストのほうが伝わりやすいじゃないですか。
うんうん。僕の友達で雑誌でレポートを描いてるイラストレーターがいますよ。これからやっていきたいのは、イラストレーターなんですか?
自分は似顔絵師だと思ってるんですが、描くモノにコダワリはないです。いろんなモノを描きたいです。新しい発見があって表現の幅が広がりますから。
イラストは似てるだけじゃなくて、イラストとしての完成度が求められるでしょ。
はい。その領域を目指していきたいです。自分の居場所を切り開いていきたいです。
カッコいいですねえ。前向きな人が多いから、この業界は今後が楽しみなんです。僕も引き続きオモシロイ活動をしている人を紹介していきますよ。
りおたの似顔絵の描き方
似顔絵イラストってどうやって描いてるんですか。デジタルですよね?
デジタルです。もともとはペイントショップで描いてたんですが、デザインの学校でイラストレーターを使うことが多かったので、今はイラストレーターです。
いきなりパソコンで描くんですか?
いや、最初は、手描きでスケッチします。シャーペンで描いて、ペン入れするんです。こんな感じです。
これをスキャナーで取り込むんですか?
そうです。そして、イラストレータでトレースするんです。
線は?元の手描きの線を使うの?
いや、線もパスに変換してます。
じゃ、カラー部分のパスを作る感じ?
そうです。
なるほど。イラストレーターで完結してるんですね。最終調整だけフォトショップを使うんですか?
いや、フォトショップは使わないです。というか、持ってないです(笑)。
そうなのかあ。イラストレーター上で線のパスをイジルこともあるんですか?
多少は調整します。パスを直接編集したり、ソフトの機能を使ったりして。僕は、カラーより線を重視してて、線を活かすイラストを描きたいので、線にはこだわってます。
描いてる方法を聞くだけでも勉強になりますよ。全員ほっぺたにうずまきを描いてますよね?
中学のときからずっとですよ。天才バカボンが好きなんです。ワンピースのウソップとかオモシロキャラはグルグルほっぺが多いので、みんなに描いたら面白くなるんじゃないかと思って描くようになったんです。今では、席描きのオチになってて、最後にうずまきを描くと笑いがおきるようになりました(笑)。
席描きの描き方
席描きはいつからやってるんですか?
2年ぐらい前からですね。始めるのが遅かったんです。僕の似顔絵はデフォルメがキツイので、席描きをやることはないと思ってたんです。でも、イラストで食っていく以上はやっていかないといけないと思って、地元の似顔絵師さんに電話して始めたんです。
1人どれぐらいの時間で描くの?
15から20分ぐらいです。
席描きも同じ描き方?
下描きは全く同じです。でも、着色は違います。僕は絵の具が苦手で、ゲルマーカーというパステルっぽいペンを使ってます。クレヨンとペンの間ぐらい質感で、結構早く塗れるんです。
線は同じだけど、塗りが違うってことか。席描きのときはデフォルメを変えてるんですか?
基本的に同じなんですが、お客さんによってはちょっとまろやかにしてます(笑)。
僕は席描きにチャレンジしたことないんですけど、芸能人のイラストを描くのとは違うでしょ?芸能人はスゴイうまいのに、席描きをすると残念な人もいるでしょ。
席描きはお客さんを相手とする以上、どうしても遠慮というか、控えないといけない場面がでてくるので…。
それもあると思うけど、やっぱり、別モノだと思うんです。限られた時間で描くというというのは、やっぱり難しいでしょ。だから、そこにクオリティ差が生まれるのは仕方ないと思います。
実は、僕もそのタイプなんです(笑)。席描きは楽しいし、すごい充実感があるんですが、まだ自分の理想とのギャップを埋めきれてないです。
うーん。たぶんカラーですよね。席描きは、スピードが大切だから難しいですね。
もっとこうしたいけど、もう時間がないみたいなときはあります。でも、目の前に座ってもらってるんだから、早く描くのは重要ですね。
席描きはコミュニケーションの要素があるので、エンターテイメントや癒しの1つのカタチとしてもっと広まってほしいです。 でも、イラストとしても、もっといろんな仕事が生まれて欲しいと思ってるんです。
できることはたくさんあるはずだけど、広がりきれてないと僕も思います。
だから、それが出来る人が切り開いて、事例になっていってほしいんですよ。雑誌での連載も1つのカタチだと思うんですよ。もともとイラストレーターの領域だと思うんです。でも、似顔絵師もできると見せてほしいです。
ありがとうございます。
イラストレーターのフリーランスになってみて
似顔絵じゃ食えないって思って、趣味としてやってる人が多いでしょ。
重々承知です。
そんな中で、若くて似顔絵フリーランスになったら、みんなからいろいろ聞かれません?
案外ストレートな質問をしてくる人はいないんですよ。
そうなんだ。4月からアルバイトをやめて、イラスト1本でやってるわけですよね。安定収入がなくなったことで、お金を稼がないといけないってプレッシャーが昔よりあると思うんですけど、実際どうなんですか?
プレッシャーは感じたことないです。それよりは、やっと自分の好きなことをやっていけるんだっていう開放感が大きいですね。相手の要望にあわせて、試行錯誤するのも楽しいです。もちろん、難しいこともありますけどね。
すごい!自由に憧れる人って多いけど、自由は自己責任なので、それはそれで大変でしょ。だから、やってみて、サラリーマンのときのほうがよかった、って言う人は結構多いですよ。 ジーコジャパンは、選手に自由を与えて、うまくまとまらなかったけど、トルシエジャパンは明確な規律を与えて結果が出たっていうのが日本っぽいと思うんです。
サッカーで言うと、日本はまだそのレベルじゃないんでしょうね。
自由って選択肢が無限なので、どうしていいか分からなくなる時があると思うんですが、その状態が楽しめてるのはすごいことだと思います。 実際、いろんなことを勢力的にやってるもんね。意識は変わりましたか?
フリーランスでやっていくので、自分のやりたいことをはっきりさせてアピールしていかないといけないと思うようになりました。 本田圭佑もプレースタイルをアピールするじゃないですか。サッカー選手のそういうところを見るのもすごい好きで参考になります。
僕と同じだ(笑)。
自分の持ち味を考えたり、自己分析するのが好きなんです。
そういう意味ではどういう持ち味なんですか?
イラストっぽい似顔絵もできるところですかね。サッカーでいうと、ドリブルもパスもできる。
万能タイプ?
そうですね。これがNGというのはないです。受け身にディフェンスするのは苦手ですけど、新しいものにチャレンジするのは大歓迎です。視野も広がるので、自分の引き出し以外を求められるのは楽しいです。
じゃ、例えば、写実的な絵もチャレンジしたいんですか?
いや、それはちょっと違います。新しいことでも、自分の持ち味と共通点があることですね。
なるほど。じゃ、4コマ漫画にチャレンジしたり、グッズ展開とかそういうことなんですね。
そうですね。イラストで言うと、線を荒々しくしてみるとか。ベースは崩したくないんです。
サッカーダイジェストのイラストを担当
サッカーダイジェストの連載はいつからやってるんですか?
2011年の4月からです。1年ちょっとです。
サッカーダイジェストの仕事はどうやって始まったんですか?
今まで描いたサッカーのイラストを出版社に持ち込んだんです。
持ち込んで連載が決まったんですか?
いや、最初は単発で描かせてもらって、しばらくして連載になったんです。
すごいですね!
週刊サッカーダイジェストは不定期で描いてるので、1、2ヶ月に数回です。別冊サッカーダイジェスト・テクニカルが2ヶ月ごと発売なんですが、そこでは自分のコーナーがあるので、毎回描いてます。
いいですねえ。サッカーだけ描いてる人は案外いないですよね。
そうですね。
上手な人は描いると思うんですけど、内面を知ってるかどうかって絵に表れるでしょ。りおた君の絵はサッカー好きなのが出てるから、これからもガンガン描いて欲しいですね。
ありがとうございます。
スポーツの感動をイラストで伝えたい!
似顔絵と同じぐらいサッカーや野球も好きなんです。スポーツって感動するじゃないですか。この感動をイラストで伝えたいんです。
いいですね。
僕は口ベタなんです。じゃから、自分の得意な似顔絵を通してスポーツの感動を伝えたいんです。全身のイラストで、その一瞬を描きたいんです。
スポーツ選手ってシルエットが特徴的でカッコ良かったりしますもんね。そういうときのポーズってイメージなんですか?それとも、ネットで写真とか探すんですか?
徹底的に探します。その人の画像や映像をしっかり見て、まずアタマに焼き付けるんです。そして、デフォルメしたイメージを自分の中に作り出すんです。イチローやロナウジーニョのような一流選手ってシルエットも特徴的でカッコいいじゃないですか。真っ黒に塗りつぶしても分かるぐらい。
僕も雑誌でサッカーのイラストを描いたことがあるんですけど、同じように動きある絵を描きたいって思いました。でも、難しかったです(笑)。
そうなんですよ。難しいんです。でも、やっぱり動きのある絵が描きたかったんです。似顔絵というより、プレースタイルもイラストで表現したいんです。描いてると、そういう欲が出てくるんです。
顔を描かなくても分かるってカッコいいですね。僕は、それも似顔絵やと思います。それにしても、本当にスポーツが好きなんですね。
スポーツって、人生に似てる気がするんです。いいと思っていても油断したら落ちちゃうことあるでしょ。逆にうまくいかないと思っていても、急にチャンスがきたりするでしょ。やっぱり、普段からコツコツと準備してることが大切だと思うんですよ。
深い(笑)。似顔絵師って深い話をする人が多いですよね。やっぱりフリーランスだからかな?
そんなことないですよ(笑)。フリーかどうかは関係ないと思います。たぶん、似顔絵師は人を観察するのが好きだからじゃないですかね。名言をRetweetしてる人は結構多いですよ(笑)。本田圭佑が「人に人生を決められてたまるか。」みたいなことを言ってたんですが、すごいカッコいいと思うんです。
確かにスポーツ選手はカッコええこと言いますね。
似顔絵で悩む時
似顔絵を描いてて、悩む時とかあるんですか?
似顔絵師としてこんなこと言っていいのか分からないですけど、毎回似るとは限らない…。
わははは。でも、正直なところ、誰でもあると思いますよ。僕の例は参考にならないと思うんですけど、僕は似顔絵を描いてて、似てるのか似てないのが全く分からなくなるときがあります。
分かります(笑)。
それで、見てもらったら、案外評判よかったり、全然似てないって言われたり、いろいろです。1日置いて、自分で見たら、驚くほど似てないときもあります(笑)。
その瞬間は分からなくなるときってありますよね。
でも、たぶん、ずっとやってる人はそういう領域を越えてるような気がしますけどね。
どうなんでしょう。たぶんずっと続くんじゃないですかね。描いとったら、うまくなっていくでしょ。そしたら、理想もあがるでしょ。そんなに満足してる人ってなかなかいないと思うんですよ。それに満足しちゃうと、伸びしろがなくなるんじゃないかと思うんですよ。
なるほど。確かに、お客さんの満足度と自分の満足度って違いますしね。「自分は満足いかなかったけど、お客さんには喜んでもらえた。」みたいなことをたまに聞きます。自分自身が満足する改心の一撃を出すのが一番難しいですね。
たまにだから、改心の一撃ですもんね。
イラストの課題
今日はちょっと喋りすぎたかな…。
いやいやいや、それぐらい喋ってくれたほうが僕にはちょうどいいです。熱いヤツってよく言われるんですけど、実際会うとそんな踏み込んだ話をできないんですよ。今日は初対面でこうやって深い話ができて楽しいです。
ちゃんと熱い話できてますか?
マックスですよ!
それはよかった(笑)。ええと、最後に何を聞こうかな。今の課題って何なんですか?
似顔絵でいうと、もっと動きある絵が描きたいです。
動きは結構あるでしょ?
いやいや、もっと描けると思います。顔ももっと安定して似るようにしたいですし。カワイクもあり、かっこよくもある、誰にも真似できないイラストを描きたいです。あんまり自己満足に行きたくないんですが、自分の持ち味はブレないようにしたいんです。
目標は、世界一の似顔絵イラストレーターなんよね?
そうなんです(笑)。何を生意気なことを言ってるんだって話ですけど、日本だけじゃなく、世界に評価される似顔絵イラストレーターになりたいです。 マンチェスターとかバルセロナに使ってもらえるイラストレーターになりたいと思ってるんです。でも、まだまだ足りないことがいっぱいあるので、目の前のことの達成しながら、一歩一歩前に進んでいきたいです。
目標はデカいほうがいいね!いやー、楽しみです。頑張って下さい。またお話ししましょう。
楽しかったです。ありがとうございました。
2012年8月4日(土)(大阪の肥後橋のカフェにて)
あとがき
似顔絵って「顔を似せる絵」って書くだけあって、顔を追求してる人がもちろん多い。僕も似顔絵師なので、その奥深さは十分承知してる。だけど、イラストには顔を似せるスキルは必要ない。 イラストも文字も音声も映像も何かを伝えるための手段。だから、そこにはメッセージがある。僕は似顔絵にもメッセージがあってほしい。
そんな中で、イラストレーターの領域に挑戦している、りおた君の活動は刺激的でした。できないと思ってることも、やってみたら案外できたと言ってましたが、その通りと思う。最初、漫画なんか描けないと思ってた彼が4コマ漫画を描いてるのもオモシロイ。
ものすごーく個人的な好みですが、りおた君の作品は似顔絵よりイラストのほうが好きです。キャラ制作の仕事とかいけると思うし、一緒に仮面ライダーを作りたいぐらいです(笑)。 また何年か後にお話するのが楽しみです。スポーツのカッコいいイラストをいっぱい描いて欲しいです。
今回のインタビューではすごい月日を感じました。デジタルコンテンツはそのまま残る。昔の僕の中村俊輔の似顔絵が彼に影響を与えてるなんて思いもしなかったけど、こういうインタビューだって、ウェブサイトだって、僕が発信しているものは誰にどういう影響を与えているか分からない。それが不特性多数の人に情報発信する楽しさ。こんなインタビューを見て、オレもインタビューやってみようかなって思う人がでてきたらオモシロイ。
ちなみに、インタビューって面接してるみたいです。似顔絵を描いてるのにも似てる。なんてことない会話のキャッチボールでその人の全体を手探りしていく。数日後に、音声を聞き返して、自分の中で整理すると、ああ、こんな人なんだなって改めて感じる。人を要約してるみたいでオモシロイんです。 ということで、これからも魂を入れてインタビューしていきますよ!
描いてもらった似顔絵
その後、届いた似顔絵。ゴリラです。しゃくれてるし…。
インタビューはカフェでしたんですが、その時に、横のおばあちゃんが話しかけてきて、終わらないトークを聞いてたシーンです(笑)。関西っぽいシーンですね。