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カトリックはなぜパレードが好きなのか?アイルランドとセブに見る信仰の形

カトリックはなぜパレードが好きなのか?アイルランドとセブに見る信仰の形

週末にセントパトリックスデーパレード東京に参加した。アイルランドとフィリピン、どちらもカトリックが根付いた国だけど、その伝来の経緯やパレードという形に現れるエネルギーの違いを比較すると面白い。

セントパトリックスデーパレード東京

緑の衣装に身を包んだ人々が街を練り歩く、セントパトリックスデーパレードを知ってます?このお祭りの主役であるセントパトリックは、5世紀ごろにアイルランドでキリスト教を広めた宣教師。当時はまだ組織としてのカトリックが確立される前の時代でしたが、後にアイルランドは敬虔なカトリックの国となり、彼は国の守護聖人として深く敬われるようになりました。

彼の命日である3月17日は、アイルランドの国民的な祝祭日、セントパトリックスデーとして盛大に祝われます。国籍や年齢を問わず多くの人が集まり、シンボルカラーである緑色の服を身にまとって、音楽やダンスと共にパレードを楽しむのが恒例です。

もともとはキリスト教の行事だけど、世界中にアイルランド系の人々が住んでいるから、今ではアメリカや日本など各地でイベントが開催されています。東京でも毎年3月に、St. Patrick’s Day Parade Tokyoというパレードが開催されていて、原宿から表参道にかけてのエリアが歩行者天国になるんです。海外のお祭りを東京のど真ん中で気軽に体感できる、とても貴重な国際イベントです。

セブのシヌログ祭

キリスト教が伝来し、それが国のアイデンティティになる時期が記念日になるのは興味深い。ちなみにフィリピンにカトリックが伝わったのは16世紀のことで、アイルランドに比べるとかなり後の時代になります。1521年にマゼランが到来しセブ島で最初のミサが行われたけれど、フィリピンには国全体の統一的なマゼランデーみたいな記念日はありません。

マゼランの功績も評価されているけど、マゼランを倒したラプラプも英雄というダブルスタンダードな側面もあります。というわけで、フィリピンでは地域ごとに独自の祭りが発展しました。なかでもセブのシヌログ祭などは、その歴史を象徴する有名なイベントとして知られていて、大規模なパレードが行われます。

こうしたパレード文化は、他のカトリック圏でも爆発的なエネルギーを持って現れます。例えばブラジルのリオのカーニバル。サンバのイメージが強いですが、実はカトリックの断食期間(四旬節)に入る直前に、肉に別れを告げて大騒ぎするという宗教的な背景から始まったものです。また、スペインのセマナ・サンタ(聖週間)では、豪華な聖母マリアの台座を担いで街を練り歩く荘厳な行列が見られます。

パレードは共同体意識

こうして見ると、パレードのような派手なお祭りで盛り上がるのは、目に見える儀式や共同体の絆を重んじるカトリック的な特徴だと言えそう。その一方で、聖書を自ら読み解くプロテスタント的なストイックさや思考の自立という点では、ある種の対極にあるのかもしれません。組織の解釈に委ねる他力本願な面があるカトリックと、個人がテキストと向き合うプロテスタント。同じキリスト教でも、その性質の違いがお祭りのあり方にも色濃く反映されているようで面白いです。

もっというと、キリスト教でなくても日本にもパレードは多い。天神祭やねぶた祭など、日本の祭りのベースもまた「行列(パレード)」です。そう考えると、宗教に関わらず「共同体意識が高い」文化の方が、みんなで同じ方向へ歩くパレードが楽しいのかもしれない。ボクは小さいころからパレードの楽しさがよくわからなかったけど、そういう「一体感」が根底にあるんだと考えると、最近少しわかってきた気がします。