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ブラック広告代理店、アソシの悲劇!

ブラック企業で限界

1998年のはなし。

大阪にアソシという会社があった。大学を卒業した僕が新卒で入った会社。一言でいうと、ブラック企業である。入社前は広告代理店と聞いていたが、実際は15人ぐらいの小さい制作会社だった。

みんなが出社してくるのは10時30分ぐらい。一応、9時から仕事なんだけど、みんな来ない。入社前はフレックスだと聞いていたが、とんでもない。単なる遅刻である。勿論、タイムカードによってしっかり給料から引かれている。

時間にルーズな僕はその波に何度も飲み込まれそうになったが、ここで流されて遅刻をすると敗北者になるような気がして必死に毎日9時に出社した。ワールドカップ中は朝のスポーツニュースを見てから出社していたので、10分ほどの遅刻をしていた。が、それは大目に見てくれ。そういうノリだった。

毎日、出社すると誰もいない。自分1人。することもない。今更Macで遊ぶこともない。当時Macはインターネットにもつながっていない。11時ぐらいまでボーっと時間を潰すことになる。味わったことのある人は分かると思うが、何もすることがないというのはツライ

これではイカンと思い、今日はこの本を読もうとか、これを覚えようとかノルマを作ったりした。しかし、オフィスの壁にはいくつものパイプがあり、そのパイプは僕たちのやる気や夢を吸い取って、代わりに裏切りや絶望を吹き込んでくる。言い訳っぽいけどそうではない、本当にそんな感じのオフィスだった。オフィスに入った途端にやる気がなくなってしまうのである。そういう空間があるのです。

おそらく、会社にいたメンバーみんな最初はやる気にみなぎっていたんだろう。しかし、いつの間にか夢も砕かれ、骨抜きにされてしまいダラダラとした毎日に身を沈めていった。

大谷さんは仕事中なのにプレーステーションをし、住友さんは上司の目を盗んでは早弁をし、橋口さんは眠ってるのがわからないように髪の毛を伸ばした。みんな気づいたら会社前のサンクスに時間潰しに行っているし、昼休憩を1時間で帰ってくる人は一人もいない。誰が悪いって、そらアソシに決まってんじゃんか。

「おい、住友、お前イスに座りながら上向いて口開けて眠るのはやめろ!」女なんだから。

どうもすいません、先輩に対してこんな口の聞き方の僕もかなり問題ありました。よーく、分かっています。

僕はジーパン姿で、クリエイティブディレクターと書かれた名刺を渡す。

「もう長いんですか?」

「いえ、大学卒業して2ヶ月です。」

おかしすぎる。いや、おかしすぎた。過去の話です。笑いましょう。わっはっは。なんかこう書くと楽しそうだな。

ITに明るい僕は、社内ネットワークの窓口となり、システム部長になった(なんのこっちゃ)。すると、取引先の会社からよく電話がかかってくるようになったのだが、その頃、友達から僕宛にいたずら電話が多かったので、失礼をしてしまったこともある。

「いつもお世話になります。○○の山田と申しますが、なかたにさんおられますでしょうか?」

「ウソつくな、イシヅカさんやろ!」

「えっ…。」

「すいません、失礼しました、最近、いたずら電話が多くて…。」

考えられへん。本当に失礼しました。いえ、僕が悪いんじゃありません、アソシが悪いんです。

金がないので、家から弁当を持ってきて早弁。昼休みには、ビルの非常階段の踊り場でコーヒーを飲みながらダラダラとしゃべってました。踊り場で暴睡して寝過ごしたこともあった。最低でした。何が悪いって、だから、アソシが悪いんです。

楽しそうに聞こえるかもしれないけど、勘違いしないでください、僕たちは犠牲者です。それもかなり重傷です。想い出になるまで時間がかかりました。

前置きはこの辺にして本題に入ります。そんな会社で起きたある1日の出来事。

強烈でした。