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東京オリンピック2020年と1964年。本を読み比べたら面白かった

東京オリンピック2020年と1964年のロゴ

2020年の東京オリンピックにはいろいろ思うところがありました。それで、ふと1964年の東京オリンピックはどうだったんだろう?と思いました。そしたら、野地秩嘉という方が1964年も2020年も本を出していた。読んでみたらめちゃ面白かったので紹介します。

1964年の東京オリンピック

日本は1945年に敗戦、1948年はオリンピックに招待されず、その16年後の1964年に東京オリンピックが開催されます。アジア初のオリンピックだったそうです。生まれてないからほとんど知らなかった。

本を開くと、最初の写真に心を奪われる。東京オリンピックのポスター。めちゃかっこいい。当時の写真は時代を感じる。

1964年の本はオリンピックの6つの舞台裏と、それを実行した人物にフォーカスしています。

  1. グラフィックデザイン 亀倉雄策(デザイナー)
  2. リアルタイムシステム 竹下亨(日本IBM)
  3. 選手村の食事 村上信夫(帝国ホテルシェフ)
  4. 警備 飯田亮(セコム創業者)
  5. 記録映画 市川崑(映画督)
  6. ピクトグラム 勝見勝(デザイナー)

詳しくは本を読んでもらいたいが、1964年の東京オリンピックでは、みんながほぼボランティアで、本気で頑張って、日本の力を世界に見せた。

そして、その時に作ったインフラやノウハウをいかして、日本は成長していったことがわかる。奪い合う利権もまだなかった時代。必死さが伝わってきました。

必死に挑戦したストーリーが楽しい

オリンピックで選手が1万人近く日本にやってくる。宿泊して、移動して、食事をする。それをしっかり管理することがいかに大変か、まったく考えたことなかった。スポーツ選手が1食に必要なカロリーは6000カロリーだそうだ。だいたい2人分。だから、毎食2万人のバランスよい食事を提供しないといけない。

外国人もあまり来てない時代。言語の問題を解決するために、ピクトグラムを開発。日本人に馴染みがないシャワーなどのアイコンを考える。さらに、長期的な価値を考えて著作権を放棄

それまでアナログで集計していたスポーツの試合結果。IBMがシステムを作って、リアルタイム速報を可能にした。

自衛隊だけでは警備が足りないから、民間警備会社も総動員。それがのちのセコムになる。

グラフィックデザインや映画についてもかなり詳しく触れられている。みんなで協力して、グループで仕事をするキッカケになったのが興味深い。

この本をオリンピック前に読んでいたら、ボランティアをしていたと思う。

2020年の東京オリンピック

2020年のオリンピックは残念だった。選手村の選手は喜んでくれていたみたいだし、海外ではいい評価もあるみたいだけど。日本のメディアはネガティブな部分ばかり報道するし、実際残念な部分は多かった。

利権の奪い合い。MIKIKOの開会式も着物も見たかったよ。

オリンピックが終わったあと、2020年の本を読みました。同じ著者。ものすごーく期待して読みました。

  1. スポーツマーケティング
  2. 大会の公式服装とポディウムジャケットに使用された新合繊
  3. 総合警備(統合監視)システム
  4. 顔による生体認証システム
  5. 自動運転とMaaS(効率的な人の移動システム)
  6. 光による通信技術を使った超高臨場感体験
  7. 競技場で流れる観客が参加する音楽
  8. 「未来ゾーン」と名づけられた子どもたちへ向けてのプロジェクト

本には前回ほどの熱量がなくて、途中までしょんぼりしながら読んでいたけど、最後はうまくまとめられていました。だが、それでも残念だった。同じ著者だけど、1964年の本が断然面白い。

2020年と1964年の違い

1964年の本でフォーカスされていたのは人でした。彼らは40代とかでプレイングマネージャー。自分で作業をしていた。だから、現場の詳細が描かれていてそれが超面白かった。

2020年の本でフォーカスされていたのはどちらかというと企業。紹介されている人は60代とかでマネージャー。引退しているような年齢の人たちばかり。だから、現場の詳細な話が少ない。企業名を宣伝したかっただけ?という部分もある。

戦後で、まだ利権もなく、必死だった1964年

利権を持って、みんな高齢化してしまった2020年

1964年の本の主役が、グラフィックデザイナーの亀倉雄策さんだとしたら、2020年の本の主役は、高橋治之さん(電通)、川淵三郎さん(JFA)の2人

300ページぐらいだけど、最初の100ページは東京に誘致するために頑張った話です。そして、残りの200ページで7つのトピックを紹介している。だから、ストーリーが薄っぺらい。

それでも、この本で知れたこともありますよ!

スタジアムの最前列を未来ゾーンと名付けて、子供を無料で招待しようとしていたこと。そして、NTTの超高臨場感通信技術「Kirari!」です。無観客になって日の目を見なかったことが本当に残念ですが、コンセプトは素晴らしい。

トヨタの自動運転EVバス「e-Palette」。選手村と点在するスタジアムへ効率よく移動をするための試行錯誤は興味深かった。

東京オリンピック2020の本で知りたかったこと

ただ、やっぱり物足りなかったので、触れてほしかったことも書いておきます。

まずピクトグラム!1964年の東京五輪でピクトグラムを日本が開発したから、今回のピクトグラムパフォーマンスがおもしろいのに、まったく触れられてない。他にも

  • 1964年に頑張って、今回も大好評だった選手村の食事
  • 前回あんなに力を入れて書いていたグラフィックデザイン
  • 前回あんなに力を入れて書いていた記録映画
  • 段ボールのベッド
  • ドローンの裏側
  • 着物の闇
  • MIKIKOの闇

ツッコミどころが多かったし、読んでモヤモヤもしました。でも、今回の東京オリンピックは、関わったら損という空気があったし、コロナや不祥事で最後まで編集が必要だったと思うので、本を発売するのは大変だったと思います。

書籍として発売していただいてありがとうございます。読んでよかったです。おすすめです!

新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語

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