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新宿御苑|徳川家・明治政府・皇室をつなぐ歴史の公園

新宿御苑の温室

新宿御苑に行ってきた。東京のど真ん中にある東京ドーム約12個分(58.3ha)の公園。

15年以上前、東京に来たばかりのころに来たことある。だけど、久しぶりに来て、ガイドツアーに参加したら知らないことばかり。新宿御苑って日本の歴史の転換点を何度も見てきた歴史的な場所なんですね。

ルーツは徳川家康が内藤清成に与えた土地

新宿御苑の歴史は江戸時代よりも古い。1591年、まだ江戸幕府が開かれる12年前、徳川家康が家臣の内藤清成にこの土地を与えた。江戸と甲斐国(現在の山梨県)を結ぶ道(のちに甲州街道になる)がある重要な場所。当時は、まだ全然開拓されてなかったと思うから、だだっ広い土地だったんでしょう。

伝説では「馬で走って回れるだけの土地を与える」と言ったとされ、その結果、四谷、千駄ヶ谷、代々木、大久保にまで及ぶ広大な敷地になったそうです。

内藤家は譜代大名として徳川家に仕え続け、江戸幕府が終わるまで約260年間、徳川将軍家を支えた。家康から15代慶喜までだからすごいです。

ガイドの話では、その頃の家康は海外の知識も積極的に取り入れていて、三浦按針ことウィリアム・アダムスを旗本に取り立てた話も紹介されました。江戸を日本最大の都市にしようとしていた家康らしいエピソードです。

新宿という名前の由来になった内藤新宿

1698年、5代将軍・徳川綱吉の時代、江戸幕府は内藤家の広大な土地の一部を返還させ、甲州街道の宿場を設置した。これが「内藤新宿」で、現在の「新宿」という地名の由来になっている。甲州街道を行き交う旅人や荷物の中継地として発展して、多くの人で賑わった。

明治になると日本最大級の農業研究施設になる

明治維新後、この場所はまったく別の役割を持つようになる。明治政府は、日本を近代国家にするために「内藤新宿試験場」を設置。当時の日本は西洋から最新の農業技術や植物を取り入れようとしていて、その研究拠点となったのが新宿。世界中から植物が集められた。

ヨーロッパから輸入したものもあれば、ウィーン万国博覧会から持ち帰ったもの、中国で探してきたものもあった。最盛期には3000種類以上の植物が栽培されていたという。輸入した植物はまず新宿御苑で試験栽培され、日本の気候や土壌で育つか調べた。だから、外来の植物の第一号は新宿御苑に集結している。ガイドはヒマラヤシーダー(ヒマラヤ杉)を紹介していました。

メロンもイチゴも、新宿御苑が広めた

いま普通に食べているメロンやブドウも、ここで栽培研究が行われていたんです。福羽逸人という農学者は、日本初となる無加温温室でのブドウ栽培に成功し、メロン栽培も進めた。さらに「福羽苺(ふくばいちご)」という品種を開発し、日本中へ広まった。現在のイチゴ栽培のルーツのひとつとも言われている。

東京大学農学部のルーツもここにある

ここでは農業教育も行われていた。試験場内に設立された農学校は後に駒場農学校となり、現在の東京大学農学部や東京農工大学農学部へとつながっていく。新宿御苑は植物研究だけでなく、日本の農業教育の出発点のひとつなんです。

日本最大級の西洋庭園へ

農業研究が発展するにつれて、教育は駒場農学校、種苗の普及は三田育種場へと機能が分かれていった。こうして新宿御苑が担っていた役割も変化し、1879年に皇室へ献納されて「植物御苑」となった。

明治政府は天皇を国家の中心に据える政策を進めていて、新宿の広大な農園は皇室の庭園兼研究施設として新たな役割を担うことになる。

さらにフランスの造園家アンリ・マルチネーの設計をもとに大改造が行われ、1906年に現在の新宿御苑が完成。当時としては前例のない規模の国家プロジェクト。

だから、フランス式庭園、イギリス風景式庭園、日本庭園を融合させた庭園なんです。明治日本が西洋文化を吸収しながら近代国家を目指していたことが表れている。

戦争を生き残り、国民の庭になった

第二次世界大戦では空襲によって大部分が焼失した。戦時中には芝生が畑に変えられ、ジャガイモやサツマイモが栽培されたという。戦後、日本国憲法の制定後に方針が決まり、新宿御苑は皇室の庭園から国民公園になる。1949年に一般公開が始まり、多くの人が訪れる場所となった。

新宿御苑を歩くと見え方が変わる

いまは入場料が500円の広い庭園です。小さいミュージアムもあるし、温室やバラ園もあって、休憩室も快適。のんびりしていたら2時間ぐらいすぐ経ってしまう。土曜日に行ったのでかなり人も多かった。外国人旅行者も結構います。

新宿御苑は単なる公園じゃない。「徳川家の家臣の屋敷 → 日本の近代農業研究所 → 皇室庭園 → 国民公園」という変化が面白い。1591年に徳川家康が家臣へ与えた土地が、430年以上の時を経て、いまでは誰でも歩ける公園になっているんです。

新宿という日本最大級の繁華街のど真ん中。こんな身近に、こんな歴史が残っているとは思わなかった。めちゃくちゃ歴史的な場所。

無料の新宿御苑ガイドウォークツアー

新宿御苑は、毎月第2・4土曜日の10:30と13:30の2回。予約は不要で、その時間に行けば、ボランティアガイドによる無料ウォークツアーに参加できます。「母と子の森散策コース」、「新宿御苑入門コース」や「季節の植物観察コース」などあるので興味ある方は行ってみてください。