刃物の町・岐阜県関市に行って刀鍛冶を見学して試斬体験をしました!
刃物の町・岐阜県関市
岐阜県関市は、日本でも有名な鍛冶の産地。刀づくりに欠かせない自然条件が整っていたことが関市が鍛冶の町として栄えた理由のひとつです。日本刀の原料となる砂鉄、水、木炭に恵まれているんです。砂鉄は美濃の山から採取でき、炭焼きに適した森林も豊かにありました。そして長良川や津保川の清流は、鉄を鍛えるときの冷却や精錬に欠かせない水を絶えず供給してくれました。
場所もよかったんだと思います。戦国時代になると刀の需要が一気に高まりました。関市のある地域は昔「美濃国(みののくに)」と呼ばれ、土岐氏や斎藤氏の支配を経て、織田信長の領地になりました。美濃は尾張・三河・近江といった大勢力の国境に接していて、合戦がしょっちゅう起きる場所でした。刀の需要が絶えないうえに、長良川の水運と街道が交わる交通の要所でもあったので、作られた武具や刃物をすぐに届けられました。だから全国から鍛冶屋が集まり、関は「刃物の町」として栄えていったんです。
江戸時代に入ると、関は尾張徳川家の管轄になりました。平和な世の中になり、刀の需要は減ったけど、その技術は包丁やハサミといった生活道具へシフト。こうして鍛冶の技は産業として根づいたんです。戦国大名が生んだ発展のきっかけを、江戸幕府が安定した基盤へとつなげたことで、関市は現在まで続く「刃物の町」としての地位を確立したんです。
刀鍛冶の正也
そんな歴史ある関市から車で15分ほど、加茂郡にある刀鍛冶の正也さんの工房を見学しに行きました。家には立派な刀が並び、工房では弟子たちが作業をしていて、いろいろなお話を聞かせてもらいました。


刀鍛冶の現状
鍛冶屋と刀鍛冶はどちらも鉄を打って物を作る職人ですが、その立ち位置は違います。鍛冶屋は包丁やハサミ、農具など生活に身近な道具を幅広く作る職人で、免許はいりません。家業や地域の伝統を通じて技が受け継がれ、関市のような刃物の町では今も日用品づくりが続いています。
一方で刀鍛冶は、日本刀を打つために文化庁の「作刀承認」という免許が必須です。承認を持つ刀匠のもとで5年以上修行し、文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了して、やっと日本刀を作ることが許されます。しかも一人の刀匠が作れる刀の数は制限されていて、年間最大24本まで。作刀するときは事前に申請し、完成したら登録証が交付され、刀と証明書がセットで流通します。
さらに1958年に制定された銃刀法によって、刀は「武器」として厳しく規制されています。新しく刀を作れるのは承認を受けた刀匠だけで、その位置づけはあくまで「美術品」。刀鍛冶は単なる職人ではなく、法律と文化財制度のはざまで日本の伝統を守る特別な存在なんです。
実際に刀を打って生活できている人はごく一部。高齢化や後継者不足も深刻で、免許を持ちながら工房を開けていない人も多いそうです。
正也さんの話では、有資格者は全国で200人くらいで、そのうち実際に活動しているのは50人ほどではないかとのこと。職人同士は横のつながりを大切にしながら、伝統をなんとか守り続けているそうです。正也さんのお客さんは半分ぐらいで海外からの依頼で、特別な手続きが必要なようです。
日本刀作りの鍛錬作業見学
そんなわけで、日本刀作りの一工程を見学しました。まず驚いたのは、鍛冶場にしめ縄があったこと。神聖な場所ということなんでしょうか?
見学したのは、鋼を伸ばし、折り曲げ、くっつける鍛錬作業です。大槌(おおづち)という大きなハンマーでガンガン叩きます。

鉄は熱するほど色が変わり、赤くなり、黄色に、そして白く輝き、やがて火花を散らします。そこに鉄を入れて、黄金のようになったら取り出して叩くんですが、タイミングが命。早すぎると鉄同士がくっつかず、遅すぎると鉄が燃えて減ってしまうそうです。


刀づくりで大切なのは「よく切れるのに折れにくい」こと。そのために職人さんは鉄を何度も熱して叩き、折り返して鍛えていきます。叩くことで鉄の中の余分なものが取り除かれ、強くてしなやかな素材になるんです。


しかも日本刀に使える材料は「玉鋼(砂鉄を精錬した純粋な鉄)」だけ。不純物を混ぜれば鉄は安く作れるけれど、それでは日本刀として認めらない。
他の国には日本のような厳しいルールがないので、「日本刀風の刀」が海外ではたくさん出回っています。玉鋼ではなく普通の鉄や合金に不純物を混ぜて安く作ったもので、本物の日本刀とはまったく別物です。刀鍛冶の職人さんなら鉄を見ただけで質やスタイルがすぐにわかるそうですが、素人には区別はなかなかつきませんね。
試斬体験
その後はいよいよ試斬体験!
まず竹を切ります。挑戦するのは刀屋壱の水野さん。殺陣アクションで毎日のように刀を振ってますが、実際に斬るのはこれが初めて。
本当に斬れるのか?みんながドキドキしながら見守るなか、竹に弾かれるように「バイーン!」と音がして斬れません(笑)。
正也さんに「スナップを効かせて、引くように斬るんだ!」とアドバイスをいただいたあと、どんどん動きが良くなっていきました。そして「スパッ!」と斬れた瞬間、隠しきれない笑顔がこぼれていたのが印象的でした。

続いて挑戦したのは、巻藁(まきわら)と呼ばれる藁の束。こちらも最初は苦戦しましたが、何度目かで見事に斬れて、歓声があがりました。

このアクティビティはめちゃくちゃ面白かった。
普段は触れることすらできない日本刀を実際に構え、自分の力で斬る。日本刀の迫力と刀鍛冶の技を全身で味わえるアクティビティでした。ちなみに映画のように鉄の塊を真っ二つにすることはできません。実際の戦いでは、鎧の隙間を狙って一瞬のタイミングで斬る必要がありました。重い刀を振り、相手の隙を突くのは、まさに訓練の賜物だったんだなと実感しました。
今回の刀鍛冶工房見学はグループ料金で、僕らは6人で参加しました。グループで行くと和気あいあいと楽しめるのでおすすめです。鍛冶屋の正也さんは本当に素晴らしく、見習いの方々もとても親切で、素人の質問にも丁寧に答えてくれました。つい質問しすぎて時間を長引かせてしまった気もしますが(笑)、本当にありがとうございました。
関市では毎年秋に「刃物まつり」
とはいえ、刀鍛冶見学はそこそこ値段がするので気軽には体験できません。そんな人にオススメなのが「刃物まつり」です。毎年秋に関市で開かれているイベントです。会場では古式日本刀の鍛錬実演や居合斬りの披露があり、本物の迫力を間近で体感できます。街中では刃物の大廉売市も行われていて、包丁やハサミなどがお得に買えるのも魅力。
試斬体験は工房でしかできないけど、刃物まつりに行けば無料で実演を見られるようです。今年は2025年10月11日、12日です。関市ならではのお祭りなので興味ある方は要チェック!

















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