昔、『奇跡のリンゴ』を読んで心を動かされたことは覚えているけど、細かい内容までは覚えてない。ただ、主人公が理系であることは印象に残っていました。そんな中、青森・弘前を訪れたことをきっかけに、映画『奇跡のリンゴ』を観ました。2013年の映画。感動しましたよ。
農薬を使わずにリンゴを育てるという、常識外れともいえる挑戦に10年かけた木村秋則さん(阿部サダヲ)の実話。そんな彼を信じ、支え続けた家族。映画は、成功の物語ではなく、家族愛の物語でした。
無農薬に挑戦して、わさびや酢などをかけて実験しても全然うまくいかなくて、まわりからも「諦めて農薬を撒け!」と言われる。子供に貧しい経験をさせて、みんなを幸せにできない悲しさから自殺を決意したとき、自然の中で元気に咲いているリンゴの木を見つける。雑草も抜かず、自然の生態系のままが一番いいという結論に辿り着き、ジャングルのようになったリンゴ農園に花が咲く。
リンゴはリンゴだけで生きていない。生態系の中で育っている。僕の周りには環境デザインをやっている人がポツポツいるのでそんな話をよく聞きます。そして、僕たち人間もコミュニティの中で生きている。個人主義が広がる今の時代に、こうした「助け合いながら生きる姿」は心に響く。困っている人を放っておかない、仲間の夢を一緒に背負う――こういう生き方こそ、日本人に合っている。最近、個人とコミュニティのあり方に関心があるので、そういう目で見てしまった。
とはいえ、映画だからきれいにまとまっている面はあるでしょう。10年目に実をつけたからよかったけれど、成功しない可能性も十分あった。無農薬の影響で周囲のリンゴ農園に迷惑がかかっていたという話しも聞く。美談の裏にある現実は無視できない。
だけど、どんなにまわりに迷惑かけても、何回失敗しても諦めない人は本当にカッコいい。失敗を重ねたからこそ、成功に心から感動できる。そういう意味では、失敗しないことは幸せだけど、ある意味不幸せ。失敗が多い人間のほうが強い。あと、自然に逆らわず、自然とともに生きる。その姿勢も美しかった。あたたかい映画でした。Amazonプライムで見れるので興味ある方はチェックしてみてください。ちなみに、昔の自分のレビューを発見。似たようなこと書いている。進歩してない。
実際にリンゴはおいしいのかがすごく気になる。そしたら、東京でも買えることがわかった。秋になったら自由が丘に行きます!
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