青森県立美術館の展示「描く人、安彦良和」で見たイラストがものすごくカッコよかったんです。安彦良和さんは1947年、北海道生まれの漫画家・アニメーター。『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインで知られているけれど、歴史や神話を再解釈する作品も描いていることを知って、まず手に取ったのが、この『イエス』でした。2003年発表の作品。
僕は神道が好きです。でも、神道を宗教だとは思っていないので、宗教を聞かれると、「無宗教です」と答えています。フィリピン人の友達が多いので、カトリックに触れる機会は多いけれど、キリスト教については詳しいわけじゃない。そんな僕の感想だということを、最初にお断りしておきます。
この漫画は、安彦良和さんによる新約聖書の解釈で、イエス・キリストを「神」ではなく、一人の「人間」として描いています。イラストはとにかくカッコよく、配色のセンスも好み。知識が乏しい僕には難しい部分もあったけれど、面白いし勉強になった。
奇跡や神秘の話ではなく、当時の社会、政治、宗教対立の中で「思想家」として生きたイエスの姿が描かれています。イエスの活動が、時代の中でどのように見られていたか、どう利用され、どう裏切られたのか。そうした視点が面白かった。
印象に残ったのが、あとがきです。伝統的には「裏切り者」とされるユダを、安彦良和さんは「スパイ」として描いていました。そして、イエスは死んで「復活」しませんでした。けれど弟子たちは、その死を乗り越えるため、「復活」という物語を語り継いだ。その視点はとても納得感がありました。
イエスの「復活」はキリスト教の根幹にある奇跡の一つなので、イエスが復活してなかったという表現は、信仰そのものを否定していると感じる人もいるかもしれない。キリスト教を信じる人の感覚が僕にはわからないけど、たぶんアンチや批判的な意見もあると思います。ただ、こういうクリエイティブな漫画が2003年にでているのがすごい。この漫画はたまに読み返したい。Kindle Unlimitedで読めます。

安彦良和
安彦良和は1960年代の学生運動に参加した経験を持つ。彼は政治や宗教の教義に縛られることなく、人間の弱さや葛藤を深く描く。代表作『機動戦士ガンダム』や『イエス』では、歴史や思想の中に生きる人間のリアルな感情や葛藤を描き、理想と現実の狭間で揺れる個人の姿を浮かび上がらせました。彼の作品は、単なるエンターテインメントを超え、人間の本質や社会の複雑さを考えさせる。
青森県立美術館の展示「描く人、安彦良和」ではベトナム戦争の写真も展示されていたけど撮影禁止でした。
高校時代の友人の影響で大学でも民青の集まりにも参加したが、やがて活動が型どおりでつまらないと民青を抜け、1968年、ベトナム戦争に反対する学生団体「ベトナムの平和を守る会」を結成し、ベトナム戦争反対の講演を企画するなど反戦運動を展開した。当時既にパターン化していたアジビラや街頭演説、ファッション化していたヘルメット姿などを嫌い、普通にしゃべって普通に書くという活動をしたところ「お前の話は分かりやすい」となり、一般学生への説明などに駆り出され、全共闘のリーダー的な存在になっていった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/安彦良和
歳をとると、宗教や政治が面白くなってくる。古事記を題材にした『ナムジ』『神武』も読みます。
ハタから見たキリスト教
【ハタから見たキリスト教】 〝信じることには懐疑的。でも、無神論ほど怖いものはない〟 安彦良和 Ministry 2009年12月・第4号






















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