断崖絶壁に建つ国宝「投入堂(なげいれどう)」に行ってきました。山岳信仰の修験道(しゅげんどう)の聖地なんですが、めちゃよかったです。修験道は、山を神聖な場所と考えて、山で厳しい修行をすることで悟りや超自然的な力を得ようとする日本独自の宗教。仏教・神道が混ざっていて、開祖は役行者(えんのぎょうじゃ)という人なんです。
投入堂とは
断崖絶壁に建つの投入堂は、役行者が法力で仏堂を山に投げ入れたという伝説から「投入堂」と呼ばれているんです。「神と仏の宿る山」と呼ばれる三徳山に、三佛寺という天台宗の寺院があって、その寺院の山奥に投入堂がある。そこに役行者が祀られているんです。
修験道の人は過酷な自然の中で心身を鍛える修行をするんです。古来から行者たちが投入堂に通ったそうです。山伏ですね。

どんな修行かというと、六根清浄といって、六根である「眼・耳・鼻・舌・身・意」を浄化させる修行です。急な岩を登って、寺院に祈りを捧げて六根を浄化させるわけです。日本人ってストイックですよね。
日本一危険な国宝
投入堂は、断崖絶壁に建つその独特な姿から「日本一危険な国宝」とも呼ばれています。死者も出たことあるので、一人では入山できないし、天気が悪いときも入山できない。
前日は雨でした。公式サイトは「雨天のため登山中止」と表示されていました。当日も小雨が降っていた。だけど、サイトを確認すると「登山可能」に変わっていたので、鳥取市内から向かいました。車で1時間ぐらいです。

参拝は8時から15時。11時ごろに到着。小雨だったけど無事に入山できました。

参拝するには、三佛寺の本堂の横で修行の受付をします。登山ではなく修行だそうです。

スニーカーの靴底をチェックされて、こりゃダメだということで、900円の「わらじ」を購入。


はじめてわらじを履いたけど、これもいい経験。指の付け根も痛くならなかったしグリップが効いて滑らない。
志納金は大人400円、小人200円、入山料は大人800円、小人400円です。入山届を記入して「六根清浄」と書かれたタスキを首にかけて登山道に入っていきます。
投入堂は往復2時間半

道中は予想以上の山道で、ボルダリングのようによじ登る箇所もある。

人が少なかったので、たまにこの道で大丈夫かな?と不安になったけど、定期的に順路の看板が出てくるので安心。

二足歩行ではなく、四足歩行です。岩場を掴んで登ったり、チェーンが用意されているところもあります。これがクサリ坂です。

写真を見ると、すごく危険な感じがするけど、全然怖くはないんです。だけど、軽装備で足を滑らせたら死んじゃう。


文殊堂を経て、地蔵堂からの景色です。落ちたらアウトです。
高いところは苦手だけど、景色を楽しみながら登れました。汗びっしょりでいい運動になります。


鐘を鳴らして、観音堂を経て、いよいよ投入堂です。どれもどうやって作ったのか不思議です。

そして投入堂!
断崖絶壁に建つ姿に圧倒されます。絶対あんなところまで辿り着けないですよ。
ほんとにどうやって建てたんですかね?
どうしてあんな場所に作ったんですかね?
寺院の人が掃除してるそうですが、掃除の様子を見てみたい。
歴史、自然、信仰が一体となった、非常に貴重な体験でした。往復で約2時間半。登る価値がある。超おすすめ。
三徳山「夏会式(なつえしき)」
たまたま7月18日に行ったんですが、三徳山で「夏会式(なつえしき)」という仏教行事がやってました。
三佛寺の本堂で午前11時から正午までやっていました。自由に参加できるので、裾に座って見てたら、横の人に声をかけられました。順番に花をとって、花を備えているので、同じようにしました。

そのあと、経典をパラパラパラパラとめくりながら大声で読みはじめました。みんなが一斉に読み出すのでビックリ。転読(てんどく)というそうです。これはすべての教えを素早く読誦したことにして、祈願の力を高めるそうです。そんなのアリなんですね。
のちに調べてみると、三徳山の夏会式は、修験道の祖・役行者に智慧(般若)を学ぶための法要。経典を大声で読み上げる転読などを通じて、迷いを断ち切る力や物事の本質を見抜く智慧を養おうとする宗教行事だそうです。
金剛蔵王大権現のポーズが好き
そういえば、帰りに宝殿に立ち寄りました。登山客は無料ですがノーチェックでした。三徳山の三佛寺本堂には、役行者が修行中に心に感じた金剛蔵王大権現が祀られているんですが、宝殿にもありました。この金剛蔵王大権現のポーズがゆるくて好きです。撮影禁止だったのが残念。
修験道を意識したこともなかったので、なにもかもが新鮮でした。投入堂に行けてよかった。入山時にもらったお札とわらじは玄関に飾っています。
神に祈る宗教もあれば、神に近づくために修行をする宗教もある。全然違っておもしろい。





















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