実家の兵庫県西宮に帰ったとき図書館に行ったら西宮市平和資料館というのがあったんです。そんな存在を全然知らなくてフラッと立ち寄ったら結構考えさせられた。西宮は大東亜戦争(太平洋戦争)で空襲の被害を受けたので、平和への取組に力を入れていました。
戦争で空襲被害を受けた西宮、「火垂るの墓」の舞台
1945年3月10日に東京大空襲があった。アメリカ軍の300機のB29爆撃機が夜間に無差別爆撃して、死者約10万人、被災者は100万人を超えた。その後、都市を人口が多い順に大中小に分けて、64都市を焼き払ったそうです。
大阪、神戸も無差別爆撃されたけど、神戸大空襲には西宮が含まれている。「火垂るの墓」という戦争末期の超泣けるが映画があるけど、「火垂るの墓」の舞台の一部は兵庫県西宮市です。西宮回生病院がでてくるので、西宮の人は馴染みがある。そんな場所だから、戦争反対の強い思いがあるのでしょう。
平成14(2002)年12月には、戦争被害についてこれを風化させないよう次の世代へ語り継ぐため、また戦争の悲惨さと平和の尊さを学ぶ場として、西宮市平和資料館を西宮市教育文化センター1階(西宮市川添町15-26)に開設した。展示資料については、市民の方々に西宮空襲など戦争関連の貴重な資料を寄贈していただいている。
西宮市における戦災の状況(兵庫県)
西宮市平和資料館の戦争体験談の冊子
西宮の平和資料館は1部屋。そう広くない部屋に大東亜戦争の戦災資料とパネルが7つのコーナーに分けて展示されていました。無料です。
「五回の空襲を受けて、死者637名、重症者2353名」
戦争時の展示はリアルだった。「アメリカの原発は日本の飛行機の何千機のパワーだ、もうダメだ。」って書かれていた。だけど、なぜか訓練中の写真は笑顔。
3冊の冊子が山積みになっていた。西宮の取り組み、戦争経験者の体験談、広島原発ドームツアーの感想。持ち帰っていいと言われたのでもらってきた。それを読んで、西宮市が毎年広島の原発ドームのツアーを開催していることを知った。戦争体験談は80代、90代の方のもあった。
終戦が1945年、当時20歳だった人は、もう100歳。戦争を語れる人はもうほとんどいない。僕は西宮市民だけど西宮市平和資料館を知らなかった。こういう活動はもっと認知されてほしい。
戦争体験談の資料は西宮市のサイトでも公開されています。
平和資料館に行った数日後、なぜか特攻隊の漫画を拾った。ご縁だと思って読んだ。
神風特攻隊の漫画 – 不死身の特攻兵
大東亜戦争の神風特攻隊の話。全10巻。9回突撃したけど生還した佐々木友次さんが主人公。鴻上尚史さんが彼にインタビューして書いた本があって、その漫画版でした。佐々木さんは2回死んだことになっていて葬式もされたけど生きて帰ってきたようです。すごいですね。
生きたい彼は特攻しても爆弾を落として帰ってきて、一度は戦艦に命中させています。彼の部隊の上司の岩本大尉が飛行機を改造して爆弾を落とせるようにしたそうです。ただ、それは当時は命令違反なわけで、上官は何度も彼を突撃させることで、彼を死なせようとした(そうです)。上官の富永恭次中将と猿渡参謀がものすごく悪い顔で、最悪の上司として描かれています。
憧れの岩本大尉が死んだときは泣けました。ただ、途中から戦争をした日本が悪い!という反日メッセージが強すぎて気分が悪かった。ちょっと偏ってる気がする。戦争を肯定するつもりもないし、特攻隊がよかったとも思わない。ただ内容には少し違和感があった。歴史が勝った人や生き残った人の物語になるのは仕方ないけど、原発を落としたアメリカは悪くないの?
僕は会社を買収された経験があるんだけど、非常事態ではおかしくなる人もいる。戦争中に冷静に行動できるほうが不自然。だから、当時の行動を現在の価値観でどうこう言いたくない。
生き残った佐々木さんのインタビューをもとに書かれているから、彼が美化されるのは当然だけど。主人公がキラキラした青年で、それ以外の日本人が悪い人が多すぎる(笑)。当時、西洋の国はアジアの植民地化をすすめていたことや、戦争相手だったアメリカのこと、そういった時代背景に触れて、なぜ日本が戦ったかのか描いてほしかった。植民地化するのが当たり前だった時代のことを現在の価値観で評価するのは難しい。
白襷隊や特攻隊なんて今では理解できない。当時、天皇が神格化されていて、日本人は愛国心に溢れ、家族のために玉砕覚悟で戦った。戦争で誰が得した?とかいう人いるけど、戦勝国は得する。日露戦争に負けていたらどうなっていたか…。だから、戦った先人には感謝しかない。内容は共感できない部分もあるけど、こういう捉え方もあるのは事実なので読めてよかった。
人間魚雷の漫画 – 特攻の島
そういえば、佐藤秀峰さんも特攻隊の漫画を描いていたなと思い出して読んだのは「特攻の島 」。
海軍が極秘に開発した人間魚雷。人が乗り込んで操縦して敵艦に体当たりするんです。大東亜戦争では空からは神風特攻隊、海からは人間魚雷。どちらも人間爆弾。
この漫画は人間魚雷の「回天」に乗った渡辺裕三(架空の人物)の話です。実話を元に書かれたフィクションで全9巻。佐藤秀峰さんの絵が迫力がある。主人公の渡辺は特殊兵器への希望調査に志願。選抜されて基地に到着して、人間魚雷回天の存在を伝えられた。極秘なので家族にも伝えられない。そんな中での葛藤が描かれています。
魚雷なので潜望鏡で敵の位置を確認したら、あとは潜って前が見えない中で操縦するんです。最初は停まっている船を狙ったけど、気づいたアメリカは船が停まっているときは網を張るようになった。最終的に動いている船を狙うことになったけど、成功率はすごく低い。主人公の渡辺さんは何度か生還するけど、最終的に突撃して最後を迎えます。大東亜戦争を伝える重要な作品。山口県の回天記念館に行きたい。
フィリピンの平和記念碑
僕はフィリピンによく行くので、戦争が身近になった。戦争反対です。戦争の悲惨さはみんな知ってる。だけど、相手が戦争をしかけてきたらどうするの?それを考えさせない教育は卑怯だと思う。
戦場となったフィリピンに行く機会が多いので、フィリピンでも平和記念館に行ってます。特攻隊の平和記念碑のマバラカットにも行った。郷土資料館や博物館にも行きます。いつもなんとも言えない気持ちになります。
Bridge for PeaceというNPO団体でも戦争体験者の声を残そうとしています。
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