やっと話題の「将軍」を年末に観ました。めちゃくちゃ面白い!観てよかった。全10話で約10時間、没入感がすごくて5時間、2日間で一気に見ました。ただ、かなり疲れます。緊張感あふれる映像が続くので、力が入りっぱなしでした。
吉井虎永(徳川家康)と石堂和成(石田三成)の対立
物語は、豊富秀吉亡き後の徳川家康を中心に展開します。
秀吉が死後の政務を託したのは五大老。徳川家康、毛利輝元、前田利家、宇喜多秀家、上杉景勝。そして、実務を行う五奉行は、浅野長政、石田三成、増田長盛、長束正家、前田玄以。
登場人物の名前は変更されているけど、吉井虎永(徳川家康)と石堂和成(石田三成)の対立が、関ヶ原の戦い直前まで描かれている。天下分け目の戦いです。
そこに、カトリックの細川ガラシャ(明智光秀の娘)とプロテスタントのウィリアム・アダムスが絡み、彼らの思いが交錯する。
印象的だったのは切腹シーンや侍の生き様。日本の侍が持つ「生」と「死」への哲学や主君への「忠義」が丁寧に描かれている。今では忘れられつつあるその精神に、「かつての日本人」を感じました。
男性優位な社会であったことには変わりないけど、男女の役割の違いもお互いがプライドを持っていたのがカッコよかったし、江戸時代に大奥が作られた流れも腑に落ちた。
カトリックとプロテスタントの宗教戦争
また、カトリックとプロテスタントの宗教的対立や宣教師活動が、物語に深みを与えていた。
ザビエルが日本にキリスト教を伝えたのが1549年。豊臣秀吉がバテレン追放令でキリスト教の宣教と南蛮貿易を禁止したのが1587年。この映画は豊臣秀吉が死んだ1598年から、関ヶ原の戦いの1600年の2年間の話だけど、キリシタン大名が力を持っています。
追放したいけど、経済的メリットがあるからなくならない。財力はいつでも力。プロテスタントのイギリス人が巻き込まれると、カトリック教徒は自分たちの利益を損ないかねないプロテスタントを追い出そうとします。
でも、徳川家康はプロテスタントのイギリス人を家臣にして外交戦略していきます。カトリック宣教師活動のネガティブな部分にも触れていて、宗教が権力や政治とどのように絡み合っていたかを考えさせられます。
僕は学生のときはキリスト教はほぼカトリックと思っていました。海外に行くようになり、カトリックとプロテスタントが全然違うことを知った。フィリピンでもエリアによって人の性格が少し違うんです。なんでだろ?と思っていたら、フィリピンではほとんどの人がカトリックだけど、プロテスタントのエリアもあるんです。国家より宗教のほうが人の人格に影響を与える。
フィリピンの博物館に行くと、歴史はスペインが来た時から始まっています。日本もキリスト教になっていたら、日本のはじまりはザビエルが来た時からになっていたかもしれないと思うとゾッとします。老害は変化の足枷になるけど、変化しないから文化が残る。何事も一長一短ですね。
日本のサムライ文化を残す作品
この映画はアメリカの時代劇ドラマ。イギリスの作家ジェームズ・クラベル(James Clavell)が1975年に書いた小説「Shōgun」が脚本。日本人より日本のこと知っていて驚く。そこに真田広之が出演・プロデューサーとして参加して、エミー賞を受賞したのが感慨深い。
2024年アサシン クリード シャドウズ(Assassin’s Creed SHADOWS)というフランスのゲームが炎上してました。織田信長に仕えたアフリカ人侍「弥助」が主人公。ノンフィクションと言いながら、歴史的・文化的に不正確だったようです。そんな時代だからこそ「SHOGUN」はうれしい。日本人も日本の歴史を考えさせられる。
武士道精神や宗教的価値観が交錯する中で、家康が駆け引きして、劣勢を逆転させていく様子は観る者を引き込む。歴史は面白い。学生のときにこういうのをたくさん見てたら歴史が好きになっていたと思う。超おすすめ映画です。
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